野生の証明
2016/04/09
中小企業診断士の仕事の中で財務診断をする局面は結構多いです。3期分の財務諸表を頂いてチェックします。人間の健康診断と同様に、財務的数値は嘘をつかないというか、ほぼその会社の現状と過去の姿を浮き彫りにします。そして、その数字になった根拠と理由が良いにつけ、悪いにつけ必ずあるのです。数字は過去の自分たちの通知表であり、過去の歴史そのものを正確に物語る。
昨日は、エクスマの勉強仲間の経営者の方から以前から一度財務診断してみてよって言われていて、行ってきました。その会社の財務に関しては全く予備知識なしで、過去三期分の決算を目通しすると、「お~・・・これは・・・・」と思わず唸ってしまいました。そしてある種感動を覚えました。それは僕がここ数年で見た決算数値の中で最も、しかも圧倒的に優れたものだったからです。優れた数値は一夜にしてなるわけがない、そこに必ず歴史があるはずです。社長にこれまでの経緯を聞いてみました。10数年前に東京から戻ってきて親父からこの会社を引き継いだ時には年商の2.5倍の借金があった。当然銀行からは冷たくあしらわれ、途方にくれる毎日。しかし、必ずこの負債をゼロにしようと決意して、何度も何度も取引先に頭を下げる毎日で少しでも向上しようとしてやってきた。そうして社員とスクラム組んで全力で走り続けて十数年経ったらあの莫大な債務がとうとうなくなっていた。
僕は、この社長マツモッティというニックネームでいつもニコニコ、ジョークばかり言っているような人なんですが、誤解していました。この間の苦労は言葉にするのは簡単ですが並大抵ではない、おそらく爪に火をともすようなことを続けながら、お客さまからの信頼を得て、社員も育てて苦労の連続だったのではないかと推察します。そこまでしなければこの数値は達成できません。何故ならこの金物卸小売業は、僕の再生窓口での代表的な不況業種でこの10年ほとんどの会社が売上を激減させ現在進行形で倒産が相次ぐ業界だからです。その中で逆にじわじわと成長を遂げてきたわけですから。この会社、気付いたら社員も成長していて、皆お客さんのことを第一に思っているのでお客さんからの信頼も凄い。
この会社は北海道帯広市にある㈱カネマツって会社で社長はマツモッティこと松本則夫さん。マツモッティの話を聞いて僕の脳裏に浮かんだ言葉、「男は強くなければ生きていけない。 優しくなければ生きていく資格がない。」90年代の日本映画「野生の証明」のコピーです。長い間、ずっと背負って火の粉の中、弾よけながら戦ってきたんだと思った。ただのふざけている人じゃなかったんだ(笑)。とても大きなものを学んだ日。ありがとうございました。
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