育成力の無い会社は消える
海の向こうのメジャーリーグで大谷君の大活躍に日々ワクワクしている人も多いのではないかと思います。一方、国内のプロ野球でも、昨年まで大谷君が在籍していた北海道日本ハムファイターズが若手選手の台頭で今年は結構いけるのではないかと思っています。
日ハムファイターズは不思議な球団で、これまでも小笠原道大やダルビッシュ有など球団を背負ってきた中心選手が他チームへ移籍して戦力の大幅ダウンがささやかれても、翌年には何故かリーグ優勝するということを繰り返して来ました。
大谷選手や抑えのエースの増井投手が居なくなった今年も、新しく育った野手、投手が随分力強くなってきたなぁ~とつくづく感じています。これに今年加わった天性のホームランバッター高卒ルーキーの清宮君が一軍に上がって先発オーダーに加わったら、また新しい凄みがチームに産まれてとんでもないことになるのではないかと予想しています。
日ハムには他球団にはない、かなり異質な人材育成システムがあると言われています。
ドラフトでも、社会人や大卒の即戦力よりも、高卒の素質のある選手を採り、じっくり時間をかけて育て上げる。今の主力選手はこうして5年、6年かけて出てきた選手ばかりなのです。
トレードも、素質がありながら低迷し芽が出なかった大田泰示のような選手を他チーム(巨人)から採り、出場機会を与えてのびのびとプレーさせる。結果昨年の移籍初年度に15本の本塁打、今年もすでに4本のホームランを打っている。
バリバリの主力選手が居なくなった穴が逆に、若手の出場機会を増やすことになるという新陳代謝の仕組みが機能しているのです。自前でじっくり育てた若手選手や他チームから採った伸びしろのある選手は、他チームに比べ出場機会が多く、チームの選手層の底上げにつながっている。
翻ってあなたの企業の人材育成はどうでしょうか?
今多くの会社で、人がやめても補充ができない。募集しても人が来ないと言います。
人材確保ができない要因は様々あるでしょうが、その大きな原因の一つに人材育成のシステム自体がないことが挙げられるではないでしょうか。
先日、ある建設業の会社で他社に比べてコスト競争力があり、その源泉は多能工化した技術力であるというお話をその社長さんからお聞きしましたが、まさに長年の人材育成の賜物なのです。
AI化、ロボット化社会が確実に進むなかで、逆に企業の優位性は人材力、人材育成力に左右される。
企業力の差は人の差、人材育成力の差なのです。
人にどれだけ投資するか?
たかがプロ野球と侮るなかれ、日ハムのような長期的視点での取り組みもあれば、どこかの金満球団のように短期的視点で高額の即戦力を集めまくっているにも拘わらず低迷を続けている反面教師もある。
プロ野球にはこれからの企業経営のヒントが満載なのです。
乗山徹
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