てけれっつのぱ
2016/04/29
くしろ演劇みたい会、てけれっつのぱ。蜂谷涼原作、劇団文化座の講演を見ました。
あらすじはこんな感じです。—————————-
文明開化当時の東京から小樽に舞台を移す。
戊辰戦争で夫と父を失い没落し芸者に身を落とした旗本の娘のあや乃が、明治10年西南戦争を終えて戦勝した政府軍の薩摩出身の傲慢なナマズ髭をはやした官吏に見受けされる。
お妾となったあや乃の生活には、芸者時代から世話になった女中のおセキがつき、車屋の夫婦、おセキの息子夫婦、官吏の正妻なども出入りするようになり、皆あや乃の人柄に引かれていた。
官吏に北海道開拓使赴任の命が下り、あや乃は北海道に渡る。
官吏は札幌に赴任したが、あや乃は女中のおセキと共に別居し小樽で商いを始める。
東京で出入りした連中も皆、あや乃を慕って小樽に渡り、一緒に商いに加わり商いも軌道に乗ったかに見えた。
次第に地元のヤクザに立ち退きの妨害をされるようになった。頼りにしていた女中のおセキも心臓の病で死んでしまう。
更に官吏が開拓使官有物払下げ事件を起こして指弾され、東京に戻ることになるが、あや乃は小樽に残ることにした。
そうこうしているうちにヤクザが店に火をつけ全てを失ってしまった。
全てを失った焼け跡の中で一同途方に暮れる。
星空の中で、何もないけど、頑張って生きるしかないと、一人一人喋り出し、力強く生きる決意をする。
死神を追い払う呪文「あじゃからくれもん、きゅうらいそ、てけれっつのぱ!」と唱えながら。
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苦しみながらも奇異な成り行きで一緒になった他人同士が力を合わせて挫折を乗り越え、希望を持って生きようという物語がユーモラスに語られる。
明治初期のめまぐるしい時代の変化に翻弄されながらも必死に生き抜こうとする庶民の生き様が伝わりました。
小樽っていうのは僕も青春を送った街なので、明治初期の金も人も集まってくる凄い勢いのある時代が何となく想像できます。その名残で現代の小樽には北のウォール街と呼ばれた歴史的建造物が数多く残っています。小樽運河もその名残ですよね。
一番強く感じたのは、今日の日本って、この舞台で描かれた明治初期にとても似ているんじゃあないかという事。
明治維新、戊辰戦争で武士の時代が終わり、新政府が樹立した。不満を持った士族の反乱が相次ぎ維新の立役者だった西郷隆盛が西南戦争で没し、士族の反乱は収まった。北海道開拓が始まったが、権力を持った役人の汚職が疑われスキャンダルで失脚する。
権力を持っていたものがどんどん入れ替わり、価値観もめまぐるしく変わらざる得ない。多分、庶民はどんどん変わって行く身の回りに翻弄されながらも力強く生きていたんだと思う。
僕たちも、めまぐるしく変わる世を遠めで見ながらも、独自性をもってわが道をそれぞれ生きていけばいいのかな。
とそんなことを感じた夜でした。
その後、王将へ寄って、おでんと魚でした。
雪も降ってきたね。
乗山徹
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