売上アップアドバイザー シーサー君

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空気感を切り取る

      2016/04/13

先日書いた全国人気市町村ランキングで10位以内に札幌、函館、小樽、富良野と北海道の都市が4つも入っています。今でこそこの順位を見ても何とも思わないのですが、おそらく30年位前の人がこの順位をみたら腰を抜かして驚くんじゃないでしょうか。
特に小樽と富良野なんて誰がみてもぱっとしない町で観光目的に訪れる人なんて殆どいなかったのです。
僕は小樽に70年代後半から80年代初頭まで5年間住んでいましたが、当時小樽で連想する言葉は「斜陽都市」だったんです。何だそれ?って思うかもしれませんが、明治から昭和の前半位までは北のウォール街と称される位、北海道の流通、金融の中心地と栄えた街だったのが戦後の高度成長時代からは取り残され発展の中心は札幌に持って行かれてこれといった産業も無く、人口は減少の一途をたどるといった元気のない街だったのです。
今は綺麗に整備復元され小樽観光の中心となった「小樽運河」はゴミが浮いて悪臭漂うエリアで観光どころか誰も歩かないような場所でした。年に数回市民有志で運河のごみ掃除を行っていた位汚かった。経済界からは運河は小樽の恥であるとして埋め立ての声が高まる中、小樽の貴重な歴史資産である運河を保存しようという運動が市民の間にはあり、僕もバンドで「運河フェスティバル」に毎年出たりしていました。
運河周辺が元々の姿を残しながら再開発され、観光スポットとして世の中に認知されるようになったのはその後の事です。
一方の富良野。古くから交通の要衝として発展した街ではありましたが、僕も小樽から釧路に帰省する通り道で2回ほど行ったことがありますが、北海道のへそ(中心地)の碑が小学校の前に立っているのをたまたま通りかかったら見る程度でわざわざ出かけるような土地ではありませんでした。

そんなぱっとしなかった小樽と富良野ですが30年たった今、全国を代表する人気スポットになっている。(こういう事を言うと地元の人からは他所から入ってきた業者が儲けているだけで地元には何もいい事が無いという声が必ず聞こえるのですが、一番重要な雇用効果だけ考えても観光業が莫大に地域に寄与しているのは明らかです)
この2都市が人気エリアたる共通の要因を考えてみましょう。
小樽は北海道開拓後、一番最初に栄えた街で古い街です。海岸線に沿って坂がうなぎの寝床のように続く地形で街のどこからでも港と海が見える。裏日本の街が持つ特有の湿った情緒のようなものが漂う。小樽の事をぱっとしないと書きましたが、実は僕はこの小樽を心の底から好きなのです。やはり表面的なものより、この空気感というか独特の情緒が居心地が良いのです。
小樽の再生の第一歩はこの「独特の空気感」を切り取って表現して伝えた事だったんじゃないかと思います。空気感を切り取って見せたのはテレビドラマ。倉本聰の小樽を舞台にしたドラマが放映され以前からあった北一ガラスなどのガラス細工、石造倉庫など小樽の湿った古さを伝える雰囲気と相俟って独特の空気感を持つ街として知る人ぞ知る存在になっていった。そこに民間の保存運動が勝利した形となった小樽運河の再開発という壮大なハード事業が乗っかって繰り返し繰り返しニュースで長期に渡りリリースされたのが決定的な宣伝効果となり運河沿いに投資を呼び込む契機となり、観光都市へと変貌していった。

富良野はもっとはっきりしていて、「北の国から」は富良野、もっと言うと北海道の空気感を見事に切り取って表現し世の中の人に伝えた。
倉本聰の北海道観光への寄与度は歴史的レベルだと思う。道民は全員彼に足を向けて寝れない位だと思います。
おまけに何回も何回も再放送しているし、これ全て北海道観光、富良野観光のプロモーションになっている。
この空気感の切り取りも運河の再生もそうだけど、なにかとんでもない新しいものをどっかから持ってくるんじゃなくて、元々あって住んでいる皆が愛しているもの、それを綺麗に拭いて磨いてあげて切り取ってあげてそれをメディアをうまく使って世の中の人に繰り返し伝える。

そんな作業が2都市の成功の要因ではないかと思っています。明日はそれでは釧路はどうよ?という話を。

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北海道釧路市の中小企業診断士&ITコーディネーター。エクスマ手法でお客さん企業の売上アップを日々指導。沖縄好きで三線唄者「シーサー君」としてピン芸人もやっています。「シーサー君ブログ」で手書き絵ブログを一日一絵一文を更新中!

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