売上アップアドバイザー シーサー君

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伝えた事に後から気付いた

      2016/04/29

昨日、釧路西港に行く用事がありました。

釧路というと湿原しか思い浮かばないと以前静岡県の方から言われた事があり、確かに市民の生活圏からは平地のため高台に登らないと海や港が見えないので、普段釧路港を意識する事はあまりないように思います。

釧路港は東北海道最大の港で穀物、燃料、資材等物資の物流基地であり、以前は日本一の水揚げを誇った漁業基地でもあります。今年は客船バースも整備されて大型客船が釧路川幣舞橋付近に繋留されます。


大きな地図で見る

地図で見てみると釧路市の平地部分の海外線はほぼ大部分港になっており全長7kmにも及びます。

釧路港を中心とした物流事業は地域の基幹産業でもあるわけですが、今大きなチャンスが訪れようとしています。

国(国交省)が国際バルク港を選定するに当たって釧路港が昨年応募したのです。

バルクとは「粒」の意味で粒状のバラ積み貨物のことです。世界の貨物はコンテナ貨物とバラ積み貨物に大別されますが、その8割はバラ積み貨物で石炭、鉄鉱石、穀物などが代表格です。

世界の海運は中国始め新興国の産業の興隆もあり、このバラ積み貨物の輸送量が飛躍的に増大しています。輸送コストを抑えるためには船舶を大型化して拠点となるハブ港まで運び、そこから近隣の港へ小型船で小分けしていくという流れになっています。

パナマ運河は大型化した船舶が通れるように幅、深さを広げる工事を進めており2014年に大型船舶の航行が可能となります。

現在、日本では大型船の停泊できる水深を持った港が無く、このままでは日本を素通りして韓国や中国のハブ港にバルク貨物を降ろし、そこから日本に小分けしてもらう事になり輸送コストが上がり国際競争力で更に水を空けられてしまう。

そこで、日本にも大型船舶が繋留可能な水深の深い国際バルク港を作って、世界の物流の流れに対応しようという事です。当然といえば当然の戦略ですよね。

国交省のシナリオでは、石炭、鉄鉱石、穀物(とうもろこし等)の三品目でそれぞれ拠点となる国際バルク港を指定するとの事で、昨年より釧路市では蛯名市長が国交省に数回にわたってプレゼンを行なってきました。

その選定がいよいよ今月下旬に決まるとの事。

経済効果や雇用面を考えると、大げさに言うとこの地域にとってのこれからの100年が決まってしまう、という位影響が大きいのです。

物流の拠点となるかどうかが都市の将来を決める。これは釧路市自体が明治初頭に川湯硫黄山の硫黄の積み出し港となった事から発展した歴史が証明しています。当初、隣町の厚岸が候補地だったとの事で、そのまま決まっていたら今日の釧路市は無かったでしょう。

この話を昨年の今頃耳にして、仲間内の地域を良くするための勉強会で、住民レベルで何かできないかという話になりました。

住民レベルで釧路市民は国際バルク港誘致を切望しています、という署名活動をしてはどうかという話になりました。

商工会議所や連合町内会など多くの団体を巻き込み、多くの方々が主旨に賛同して頂きどんどん協力してくれました。結果的に7万人の署名が集まりました。夏場には色々な地域の祭りに出掛けて分担して署名を集めました。

結果はどうなるか分かりませんが、国交省でも署名を集めた事に触れていたとの事で、市民の思いは伝わったのではないかと思っています。

昨日、港湾関係の方と話していて、そう言えば乗山さん達、署名集めてくれましたもんね。実はバルク港の選定が今月なんです。という話を聞き、ちょっと気付いた事があります。

この署名活動も、最近僕がことある毎に言っている「伝えないのは無いの同じ」という事だなと。

署名活動って、ただ熱い思いだけで、どんな効果があるのかも分からないでやっていました。(少なくとも僕は)

今振り返って冷静に考えてみると、伝えた事は2つ。

一つ目は、国交省の選定する方々に、釧路では住民が誘致を切望しており、是非釧路港を国際バルク港に選定して欲しいですと伝えた。

二つ目は、釧路市民に、バルク港の意味と誘致したらこんな良いことがあるので、署名に協力して下さいと伝えた。

これってエクスマと同じだ。

今や、国の事業だって口を空けて待っているだけでは何一つ入ってこない。

地域から事業が欲しい。と声に出して伝える。利害関係のない勝手連だから効果もある。

それと住民に地域に良い事があるので協力して欲しいと伝え、地域をよくしたいという思いを共有できたように思います。

市民って、正しくと良い事だと判断すれば、進んで協力してくれるんだ、という事も分かった。

港に行って、そんな事に気付きました。

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北海道釧路市の中小企業診断士&ITコーディネーター。エクスマ手法でお客さん企業の売上アップを日々指導。沖縄好きで三線唄者「シーサー君」としてピン芸人もやっています。「シーサー君ブログ」で手書き絵ブログを一日一絵一文を更新中!

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